あがり症克服のための成功体験の積み重ね(認知行動療法)の考え方を徹底解説

あがり症は単なる緊張しいという感じではなく、対人恐怖症など社会不安障害に分類される病気であるという事は「あがり症とは?ただの緊張しやすい性格ではなく病気の可能性もあります」という記事でも紹介していますが、緊張が原因で失敗したという過去の経験が自身の性格にも影響するため、簡単には克服する事が難しい病気です。
そのため、インデラル等のお薬を活用し症状を抑えながら、同時に「人前でうまく話せた!」「発表の前日もぐっすり眠れた!」などの成功体験を積み重ねていく必要があります。
成功体験を積み重ねて問題を改善していく方法を認知行動療法と呼ぶのですが、今回はあがり症の克服のための「具体的な成功体験の積み重ね方・考え方」について解説していきたいと思います。
あがり症ではなくても、人前で話すのが苦手という人にも役立つ内容だと思いますので、是非チェックしてみてください♪
目次
認知行動療法について
まずは少しだけ、認知行動療法の例を説明します。
いつも授業中に教室で暴れてしまうA君がいるとします。
こういう生徒がいると、怒ってガミガミ言って着席させる先生がほとんどだと思います。
でも、A君は自分で良くない事と理解していながら、頻繁に同じ行動を起こしてしまう。
また、先生が怒り、この繰り返しで、このままでは何の解決にもなりません。
認知行動学では「A君が暴れる→クラスや生徒の注目が集まる」という流れに着目し、皆の注目が集まるという事がA君の行動を強化している(繰り返し起こる要因になる)という見方をします。
認知行動療法で、この場合どうするかと言うと、A君が暴れても先生は無視します。
生徒にも理解を得て、A君の行動は気にせず通常通り授業を続けます。
そしてA君が落ち着いたところで、冷静にA君を別室に移動させ、自習のプリント等に取り組ませます。
この流れを繰り返すことで、暴れても皆の注目が集まらない、それどころか一人で自習のプリントをしないといけないという経験が積み重なっていくことになります。
一人でプリントをさせる罰的な部分が重要なのではなく、行動を強化する要素(みんなの注目が集まる)をなくすという点が重要です。
この方法を取ることで、A君が授業中に暴れるという行動は自然と減っていきます。
行動と結果の関係性に着目して対処する、認知行動療法とはこのような考え方です。
あがり症克服のための認知行動療法は小さな成功体験から
あがり症の場合は、過去の失敗の体験が「人前で話すのが苦手」という意識を生み、それが引っ込み思案だったりネガティブな性格として根深く染み付いてしまうケースが多いです。
性格を変えるには行動を変えれば良いという言葉もありますが、行動に尻込みしてしまうようでは、一歩を踏み出すことが難しいですよね。
だから、まずは本当に小さな事から始める事が大切です。
薬で症状を抑えているのに、また緊張で失敗したという経験を積むことはさけるべきなので、慎重になって全然問題ありません。
小さな成功体験を積み重ねる流れ
伝えたい内容を少人数に話す練習(LEVEL1 ★)
- 話したい内容を文章に書き起こす
- 覚えるぐらい文章を何回も読み声に出して練習する
- 1人相手に話してみる
- 2人相手に話してみる
- 3人以上相手に話してみる
まずは話したい内容を文章化し、しっかり練習して1人相手に話す事から始めましょう。
あがり症では、緊張してうまく話せなくなる人が多いので、まずは友達や家族など信頼できる相手から練習しましょう。
「伝えたい内容を整理して話せた」という成功体験を積み重ねていく事が最初の一歩です。
伝えたい内容を少人数に話す練習(LEVEL2 ★★)
- 話したい内容のポイントをキーワードだけにして紙に書く
- キーワードを元に話したい内容を頭の中で整理する
- 声に出して練習する
- 1人相手に話してみる
- 2人相手に話してみる
- 3人以上相手に話してみる
話す内容をそのまま文章にするのではなく、キーワードだけにすることで、会話しながら頭を回転させる必要が出てくるため、より実践的な会話に近くなります。
伝えたい内容を少人数に話す練習(LEVEL3 ★★★)
- 話したい内容を紙には書かず頭の中だけで整理する
- 1人相手に話してみる
- 2人相手に話してみる
- 3人以上相手に話してみる
話す内容を文章には起こさず、頭の中だけで整理して話すことで、とっさの会話の準備にも繋がります。
伝えたい内容を少人数に話す練習(LEVEL4 ★★★★)
- 話したい内容を紙には書かず頭の中だけで整理する
- 1人相手に話しみて、質問してもらい回答する
- 3人以上に話しみて、質問してもらい回答する
LEVEL1〜3の練習が終わったら、今度は一方的に話すだけでなく、相手に質問してもらい、双方向の会話を行ってください。
3人以上相手にこれができれば、小さな発表の場と変わりませんので、しっかりとした成功体験になります。
ここまでのSTEPでは、話相手は初対面や見知らぬ人ではなく、知人で大丈夫です。
初対面の人と話す練習
初対面の人との会話や、見知らぬ人が多い場所で自己紹介するのが苦手という人も多いですよね。
あがり症の方がいきなりそういう場に立つのはハードルが高いので、まずは友達に協力してもらって知り合い一人で良いので連れてきてもらい、友達同席の場で初対面の人と会話する練習をするのが良いと思います。
友達を紹介してもらうというだけですが、準備した話だけでは会話が成り立たないので、より実践的な練習になります。
人前に立つ、小規模なプレゼンを行う練習
あがり症の方は、発表や自己紹介で失敗した経験がトラウマのようになっている方も多いので、次にプレゼン(小規模)の練習について書いてみたいと思います。
プレゼン発表者のサポート(LEVEL1 ★)
最初から自分一人でプレゼンというのはハードルが高いです。
まずは人前に立つという経験を積む意味で、メインの発表は別の人にやってもらって、そのサポートにつく形を取りましょう。
会社で他の人がプレゼンする場合に、スライドの操作など横に補助で入るだけでもOKです。
できれば「資料の1ページ目をお開きいただけますか?それでは、◯◯から発表を行わせていただきます」という冒頭の一言ぐらいをしゃべる練習ができると良いですね。
サポートをつけて1人でプレゼン発表(LEVEL2 ★★)
今度は自分で発表する練習です。この場合も最初は一人きりではなく、サポートに1名ついてもらって、いつでもフォロー、補足してもらえるようにしましょう。
嫌な記憶として残るのは、うまく話せなかった事よりも、その結果周りに迷惑をかけてしまったという結果です。
うまく話せなくてもフォローしてくれる人がいて、プレゼン自体は成立するという安心感があった方が話しやすいですよね。
サポート無しで1人でプレゼン発表(LEVEL3 ★★★)
いよいよ、最終段階。一人でのプレゼンです。
人前に立ってうまく話す経験が重要なので最初は資料を読み上げるだけのスタイルでOK。
なれてきたら、話すポイントだけキーワード化して、その場で話すという形をとっていくと良いと思います。
まとめ
あがり症はただ人前で話す練習をするだけでは改善しません。
特に緊張で手足が震えるなどのハッキリした症状が出る場合は、インデラル等の薬で対処して症状を抑える必要があります。
その上で、上記のような成功体験を徐々に積み重ねて自信をつけていく事が大切です。
はじめは、整理して伝えたいことを話す練習から行い、慣れてから初対面の人との会話やプレゼンの練習を行うようにしましょう。
この記事があがり症の克服に取り組んでいる方、人前で話す事が苦手という方のお役に立てば幸いです。
なお、「インデラル」は一般の方でも通販サイト「コンディション21」でも購入することができますので、是非チェックしてみてください。